今世界各国で原油高が続いており、日本でも約3年振りにガソリン価格が160円(1ℓ)を突破しました。
一時はコロナ禍で大打撃を受けていたエネルギー株ですが、今後経済活動の再開により需要が増えるだろうとの見込みから、再び注目が集まっています。
エネルギー株ならシェブロンとエクソンモービルの2強ってイメージですが、アメリカの会社だしあんまりよく分かっていないんですよね…
じゃあ今回は、そんなアメリカのエネルギー界で双璧をなすシェブロンとエクソンモービルについて詳しく見ていこうか!
- エネルギー株の魅力について知りたい方
- シェブロンとエクソンモービルのどちらに投資をしようか迷っている方
- 両社の事業計画や今後の方針について知りたい方
エネルギー株の魅力
そもそもエネルギーとは何かというと、石油・電気・ガスの3つを指すのが一般的です。
電車や自動車などの移動手段、日常生活において石油・電気・ガスを使わない日はないほど、生活インフラとして支えているのがこれらのエネルギーです。
今世の中では「脱炭素化」が話題になってはいるものの、世界全体の発電方法の約4割が石油・石炭発電に依存しているのが現状です。
バイデン政権になってクリーンエネルギーへの転換が騒がれてはいるものの、すぐに全てを石油・石炭以外などのクリーンエネルギーが代替できるわけではないので、当分は問題ないかと思います。
そんなエネルギー株は不況に強く、配当が高いのが特徴です。
生活インフラですから、不況のときでもエネルギーは欠かせません!
また新しく設備投資や商品開発に費用をかける必要がないので、利益を配当という形で株主に還元できるんだね!
ただしシェブロンやエクソンモービルなど、エネルギー会社の株価は原油価格に大きく左右されるため、株価のふり幅は非常に大きいです。
そういう意味ではコモディティ(商品)としての側面が強いので、分散投資には向いています。
またこれから人口が増加し、経済成長の余力がある新興国では、さらに石油などのエネルギーの需要増が予想されています。
会社の概要
シェブロン
アメリカに本社を置く、大手石油関連会社です。
スーパーメジャーと呼ばれる6社のうちの1社に含まれており、世界のエネルギー関連企業時価総額ランキングでは、エクソンモービル、ロイヤル・ダッチ・シェルに次ぐ世界第3位になっています。
エネルギー会社は大きく(1)探鉱・開発・(2)輸送・(3)加工・流通の3工程に分かれていますが、シェブロンはこのいわゆる上流から下流の工程全てに携わっています。
シェブロンの特徴はセグメントの約3割が上流工程を占めていること、低炭素エネルギー事業の投資に積極的なことが挙げられます。
上流工程はより原油価格に左右されますが、利益率は下流工程より高いのが特徴です。
2020年の8月にエクソンモービルがダウ平均の構成銘柄から外されたため、シェブロンはダウ唯一の石油メジャーとなっているよ!
エクソンモービル
エクソンモービルもシェブロン同様アメリカに本社を置く大手石油会社で、時価総額では堂々の世界1位です。
エクソンモービルも上流から下流の全ての工程に携わっていますが、上流工程の割合が約1割程度と小さく、資源の開発の他にも化学製品の制作なども行っています。
エネルギー会社の中では財務の健全性が高く、保守的な印象がありますが、その反面クリーンエネルギーへの移行にやや出遅れているようです。
高配当ETFのVYM、HDV、SPYDには軒並み組み入れられてますね!
シェブロンとエクソンモービルの比較
基本情報
CVX | XOM | |
---|---|---|
時価総額 | 2,071億ドル | 2,606億ドル |
売上高 | 944.71億ドル | 1785.74 億ドル |
営業利益 | -60.97億ドル | -294.48億ドル |
営業利益率 | -6.5% | -16.4% |
当期純利益 | -55.43億ドル | -224.40億ドル |
自己資本比率 | 54.9% | 47.2% |
EPS | -2.96ドル | -5.25ドル |
ROE | 2.7% | -7.9% |
PER | – | – |
配当利回り | 4.9% | 5.7% |
配当性向 | – | – |
連続増配年数 | 34年 | 38年 |
シェブロン
コロナの影響をモロに受け、原油の急落があった2016年以来4年振りの大赤字。
ただ四半期ごとに見ると2020年6月の第2Qが飛びぬけて悪かっただけで、2021年3月期の営業利益は17億ドル、6月期は32億ドルと順調に推移しています。
原油価格の回復や人件費などのコストカット、経済再開による需要の回復もあり、年間20~30億ドルもの自社株買いを再開すると発表しています。
やっぱり米国株は株主還元への意欲がスゴイですね~!
エクソンモービル
エクソンモービルもシェブロン同様、コロナの影響をかなり受けています。
ブルームバーグの記事によると、通期での赤字は約40年振りだそうです。
ただエクソンモービルも2021年の第2期四半期(4~6月)には業績が急回復しており、底は脱したという見方が多いです。
またエクソンモービルはXTOエナジーを買収したことにより、アメリカ最大の天然ガス生産会社になっています。
この天然ガスの価格高騰も、業績回復の後押しをしています。
世界的にCO2排出削減のため、火力発電を石炭→天然ガスへ転換する動きもあるので、今の状況が当分続くかもしれませんね。
こちらの決算資料は、マネックス証券の米国株銘柄スカウターから引用しています。
決算内容も非常に見やすくレイアウトされており、この銘柄スカウターを使うためだけに口座開設をする人もいるくらいです。
米国株におススメの証券口座はこちらでもお伝えしてるので、よかったらチェックしてくださいね!!
株価
2008年頃からのチャートを見てみると、株価はどちらも似たような動きで、概ね原油価格に連動しているのが分かりますね。
ただ株価の成長で言えばCVXが50%上昇、XOMが20%下落しているので、大きな開きが出ています。
売上高ではXOMの方が大きいですが、純利益が伸び悩んでおり、株価も厳しい状況が続いています。
配当
配当利回り
シェブロンの配当利回りは4.9%、エクソンモービルは5.7%です。
どちらも5%近い配当を出している高配当企業ですね!
CVXもXOMも、配当支払い月は3,6,9,12の年4回だよ!
連続増配年数
シェブロンの連続増配年数は34年、エクソンモービルは38年です。
どちらの会社も増配年数が30年を超える、配当貴族銘柄だよ!
でも連続増配ETFのVIGには含まれてないんですね~
VIGはそもそもエネルギーセクターの組み入れがないからね。
ただステート・ストリート社の20年以上の増配株で構成されるSDYには、CVXもZOMもしっかり入っているよ!
今後の事業方針
シェブロン
シェブロンは低炭素化に向けた投資に積極的です。
CO2の排出を減らすため、水素関連事業で他の会社と提携したり、2028年までに低炭素燃料事業に100億ドル投資をすると発表しています。
他の石油メジャーも低炭素事業投資を行ってはいるものの、シェブロンほど規模の大きい投資は行っていないため、他の企業の先駆け的存在でもあります。
連続増配年数も34年と非常に優秀ですし、業界としての見通しは明るくないものの、自己資本比率や決算の現状を見る限り当分保有していても問題ないかと思っています。
自社株買いにも積極的で、配当+自社株買いの総還元性向も高く、好感が持てます。
自社株買いに積極的な会社、好きです。
エクソンモービル
2008年にはアメリカの時価総額ランキングで堂々の1位だったXOMですが、2011年にアップルに時価総額を抜かれ、2020年にダウ平均株価の構成銘柄から外され、同年10月には一時CVXにも時価総額を抜かれるなど、状況は厳しいと言わざるを得ません。
それまで四半期毎に行っていた増配も2020年の6月にストップし、2021年の12月の配当次第では38年の連続増配記録もストップしてしまう可能性もあります。
再生可能エネルギーへの投資も進めてはいるものの、一貫して同業であるCVXに後れを取っている感は否めません。
引き続き配当維持のため従業員の縮小、経費削減などを行っていくとは言ってますが、今後はコスト削減にも勝る変化が求められています。
年末の配当で連続増配年数を維持できるか、見物ですね…
どちらに投資すべきか?
特徴を挙げると、シェブロンは上流工程の割合が高く、低炭素事業への投資に積極的。
エクソンモービルは下流工程の割合が高く、新事業への投資に関してはやや保守的。
どちらかに投資をするのであれば、個人的には利益率が高く、M&Aにも積極的なシェブロンに投資をしたいです。
今をときめくアップルやテスラなどのパフォーマンスには遠く及ばないとは思いますが、セクター分散、間接的なコモディティへの投資、魅力的な利回りなど、良い面もたくさんありますからね。
ボクの個別株は、このように13銘柄に分けて分散投資をしています。
まとめ
- 生活インフラを支えるセクターで不況に強く、高配当が魅力的
- 個人的には事業拡大、低炭素化への投資に積極的なシェブロン推し
- 長期の見通しは明るくないので、ポートフォリオの一部に留めておくのが良いかも!?
ボクはCVXに投資をしておりますが、少しでも参考になれば嬉しいです!!
コメント